脇差し 大和大掾藤原正則
(やまとだいじょうふじわらのまさのり)
(切付銘)池田氏所持剱之也 他仁不可渡之
Wakizashi:Yamatodaijo Fujiwarano Masanori
新刀・越前 江戸初期 良業物
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長:32.0(一尺六分弱) 反り:0.6 元幅:3.48 元重ね:0.70 穴2


【コメント】
正則は、丹後国宮津の出身、山城三条吉則の末流と云い、後に越前国福井に住し、京でも鍛刀しており、江戸初期の越前新刀鍛冶としては、康継、山城守国清に比肩する実力者です。
年紀作は稀有ですが、慶長十三年(一六〇八)を上限とし、元和、寛永、正保頃まで作が残っています。刀より平脇差しが多く、作風は、北陸物特有の黒みを帯びた地鉄に板目が流れ心に肌立つ鍛え、刃文は揃った互の目、互の目に尖り刃交じりの刃、互の目丁子、直湾れ調などがあり、乱れ刃は末関風、直調の刃は康継を思わせるものがあります。また同工には不動明王、倶利伽羅、梅樹などの濃厚なものから簡素なものまで、巧みな彫り物がまま見受けられ、斬れ味鋭い業物鍛冶としても有名です。
本作は、寸法一尺六分弱、身幅3.48㎝、三つ棟で重ねもしっかりとした片切り刃脇差し、典型的な慶長新刀スタイルを示した優品です。
刃の出来は、表裏で趣が異なる児手柏(このてがしわ)風、表は互の目乱れ主体で小互の目、丁子交じり、裏は湾れ調で、共に刃が明るくて冴えています。
特筆すべきは、表裏の自身彫り、特に火炎不動の櫃彫りは、同工の真骨頂とも言える素晴らしい彫り口です。因みに、第三十回重要刀剣指定品に、同工作の同じようなスタイルの平脇差しがありますが、それにも全く同じ火炎不動の櫃彫りがあります。
豪壮且つ地刃健全、典型彫りのある同工代表作、これは見過ごせない逸品です。

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