刀　(太刀銘)肥前国近江守忠吉(六代)
(ひぜんのくにおうみのかみただよし)

Katana:Hizennokuni Ouminokami Tadayoshi

新々刀・肥前　江戸後期　拵え付き
特別保存刀剣鑑定書付き

刃長：69.0(二尺二寸八分弱)　反り：1.6　元幅：3.23
先幅：2.39　元重ね：0.77　先重ね：0.61　穴1

鎬造り、鎬尋常庵棟低い、中切っ先強く張る。　鍛え、小板目に板目を交えて総体的に良く詰み、所々流れ心に肌立ち、地沸厚く付き、細かな地景を配し、地鉄良好。　刃文、湾れに互の目、小互の目交じりで、刃縁荒沸付いて明るく冴え、一部筋状の湯走り掛かり、刃中小互の目足入る。　帽子、直調で沸付き、先掃き掛け返る。　茎生ぶ、先栗尻、鑢切り。　銅に銀着せハバキ(着せに剥がれ有り)。　時代研磨。　白鞘入り。
打ち刀拵え(全長100.2　柄長24.1　幕末期　鞘　黒の呂刻み鞘　こじり角、栗型、四分一研磨地毛彫、蔓草図　柄　親鮫に黒革柄巻き　縁頭、赤銅魚子地高彫色絵、武者図　目貫、赤銅容彫色絵、引両に桜図　鍔　銘藻柄子入道宗典製　江州彦根住　喜多河　鉄地丸形肉彫透、布目象嵌、図不明)付き。

【コメント】
六代忠吉は、五代の次男として元文元年(一七三六)に生まれ、嫡男が早世したため、六代目を継ぐこととなり、父存命中は忠廣と銘じました。父の晩年頃は代作が多かったため、自身作が見られるのは、天明(一七八一～八九)頃からで、寛政二年(一七九〇)に近江守を受領、文化十二年(一八一五)、八十歳で没。
活躍期は、水心子正秀などと同時代に当たり、忠吉一派正系鍛冶としては、現存作の少ない刀工です。本作は、寸法二尺二寸八分弱、切っ先強く張って、元先身幅の差が少ない勇壮な造り込みで、地刃健やかな佳品です。
伝統の肥前直刃ではなく、乱れ心のある明るい刃を焼いており、大きな疵なく、銘字も鮮明、外装も付いた貴重な六代忠吉の意欲作です。
力感溢れる姿、覇気のある冴えた焼き刃が見所、この度、特別保存鑑定が付きました。