刀 源正雄(鈴木正雄)
(みなもとのまさお)
文久三年二月日(一八六三)
Katana:Minamotono Masao
新々刀・武蔵 江戸最末期
特別保存刀剣鑑定書付き
探山先生鞘書き有り

刃長:79.4(二尺六寸二分) 反り:2.0 元幅:3.28
先幅:2.40 元重ね:0.85 先重ね:0.66 穴2(内1忍)


【コメント】
源正雄は、鈴木次郎と言い、美濃国出身、正雄と銘していることからも分かるように、源清麿の正行時代からの弟子で、清麿門の最古参でもあります。嘉永六年頃には独立し、江戸下谷御徒町に住しています。安政五年から万治元年までの三年間は、幕府の北辺防備の命により、北海道函館にて鍛刀しました。
作風は、師風を良く継いだ互の目乱れを得意とし、中には師に勝るとも劣らない作もあります。また総じて互の目の腰が低めである所に特色があります。※『腰』とは、刃文の焼き頭から焼きの谷へ向かう傾斜のことで、この角度が浅い場合を『腰が低い』などと言います。
銘は、特徴のある流麗な草書体で、『源正雄』、『武州住源正雄』などと切ります。正確な没年は不明ですが、年紀作では慶応元年八月頃までの作が残されています。
生涯受領しておらず、また師の協力者としての時期が長いためか、自身作は余り多くありません。
本作は、寸法二尺六寸二分、切っ先鋭角にやや延び心、元先身幅の差が少なく、重ね厚い長尺刀、表裏共に樋がありますが、ズシンと重く、地刃すこぶる健全、大きな疵もない同工自信作です。
互の目乱れを主体とした刃は、小互の目、角張った刃を交え、刃縁細かな飛び焼き、筋状の湯走り掛かり、刃中互の目足入り、金筋、砂流しが掛かっています。
刃中を貫いて煌めくような太い金筋は、清麿一門の大きな見所であり、帽子の焼き深く、先が尖って掃き掛ける様も何とも迫力があります。
探山先生鞘書きには、『長寸、幅広、重ね厚い大鋒の勇健なる形態に、地刃は師清麿伝を踏まえつつ、彼の独自色を加味した本領発揮の優品也。』とあります。
同工円熟期に於ける大変魅力的な一振りです。






お買いものガイド
