大身槍 銘:九州肥後同田貫源左衛門烝
(きゅうしゅうひごどうたぬきみなもとさえもんのじょう)
Omiyari:Kyusyuhigo Dotanuki Minamotosaemonnojo / NBTHK:Hozon
古刀・肥後 安土桃山期 保存刀剣鑑定書
刃長:73.0(二尺四寸) 反り:なし 元幅:3.55 元重ね:1.14 穴1
【コメント】
同田貫源左衛門烝の大身槍、戦国末期を飾る相応しい、豪壮無比な最強の武器です。
同田貫鍛冶と言えば、延寿鍛冶の末裔、加藤清正に従って朝鮮出兵に赴き、その地で盛んに鍛刀し、凄まじい斬れ味を示したことで、一躍名を挙げた一派で、最強の実戦刀として、今なお高い人気を維持しています。熊本城には戦国期から江戸期に掛けて、戦備として同田貫の刀、薙刀、槍が数百振り保管されていたと云います。幕末の戦乱、西南戦争により、その多くは行方知れずになったものの、残されたものは、県指定文化財として保管されてきました。
正国(上野介)を棟梁格とし、同派の鍛冶は兵部、外記、信賀など俗名を用います。本作の左衛門烝もその一人で、二尺四寸もの大身槍を見事に仕上げています。槍でもこれだけ長くしっかりした物は、中々お目に掛かりません。なぜならば、槍は一番道具として刀に比べて圧倒的に多く造られましたが、その分多く消耗されたため、ほとんど残っていないからです。またこのような長寸の槍は、余程の武将か、修練を積んだ使い手でないと扱えるものではありません。故に注文打ちとして作られた可能性が高いでしょう。同田貫一派には槍の名作が多く、本作もそれに加えられるべき名槍です。