刀 片山一文字則房(無銘)
(かたやまいちもんじのりふさ)


Katana:Katayama Ichimonji Norifusa(Mumei)



(附)古鞘 古刀・備前 鎌倉中期
第十七回特別重要刀剣指定品
徳川将軍家伝来品
探山先生鞘書き有り




刃長:72.9(二尺四寸一分弱) 反り:1.8 元幅:3.03
先幅:1.98 元重ね:0.77 先重ね:0.45 穴1




鎬造り、鎬高く庵棟低い、中切っ先やや猪首風となる。 表裏共に棒樋を茎尻付近で掻き流す。 鍛え、板目に杢目交じり、地沸を厚く敷いて上品に肌立ち、繊細な地景を配し、ほのかに乱れ映り立ち、地鉄精良。 刃文、丁子乱れを主体とし、小丁子、小互の目、尖り風の刃を交えて乱れの間隔近く、特に裏は密に小模様に焼き、総体的に逆掛かり、刃縁匂い勝ちに小沸付き、明るく締まって良く冴え、刃中葉、足繁く入り、細かな砂流し掛かる。 帽子、表は僅かに乱れ込み、裏は湾れ調で、先尖り心に僅かに掃き掛け返る。 茎大磨り上げ、先僅かに刃上がり栗尻、鑢筋違い。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨。 白鞘入り。 古鞘有り。



【コメント】
片山一文字則房(無銘)の特別重要刀剣、同派の祖による無類の健全さを誇る鎌倉中期の備前太刀、逆丁子を交えた華やかな典型作、徳川将軍家に伝来した不朽の名刀です。
片山一文字派は、福岡一文字助房の子と伝わる則房が、後に片山の地に移住したことからこの呼称があります。古来より片山の地を備中片山、現在の岡山県総社(そうじゃ)市地頭片山としていましたが、近年は備前福岡近辺の片山、現在の岡山県瀬戸市邑久(おく)町下笠加(しもがさか)が有力視されているものの、未だ確たる定説には至っていません。
則房は、同派の祖として国宝二口、重要文化財一口、重要美術品七口を数え、在銘現存作は太刀のみ、また古来より薙刀の名手と伝えられており、無銘作にそれと伝えられているものが多く残されています。無銘極めの片山一文字に薙刀、薙刀直しが多いのはこのためです。
作風は、福岡一文字助真、吉房に類する華やかな丁子乱れの他に、地沸が微塵に付いて強く冴え、映りの目立たないもの、逆心の刃が目立つもの、小模様な丁子乱れのものなどがあり、刃中の足が細かく入り、刃縁が良く冴える点も見所です。
本作は平成十三年(二〇〇一)、第四十七回の重要刀剣指定品で、翌平成十四年(二〇〇二)、第十七回の特別重要刀剣に指定された最上の一振り、『片山一文字則房』の極めが付されており、『時代鎌倉中期』、伝来『大徳川家』とあります。 寸法二尺四寸一分弱、切っ先やや猪首風となり、身幅、重ねしっかりとした鎌倉中期の備前太刀姿を示しており、この地刃の健やかさには驚くばかりです。
板目に杢目を交えた最上の備前地鉄は、地沸を微塵に厚く敷き、地色明るく、繊細な地景を配し、ほのかに乱れ映りが立っています。
丁子乱れを主体とした焼き刃は、小丁子、小互の目、尖り風の刃を交えて乱れの間隔近く、特に裏は密に小模様に焼き、総体的に逆掛かり、刃縁匂い勝ちに小沸付き、明るく締まって良く冴え、刃中葉、足細かく入り、柔らかな砂流しが掛かっています。
この潤いのある肌質、抜群の鍛え、焼き刃の柔らかさと明る、研ぎも素晴らしいく、同派の特色と美点が存分に示されており、欠点が全く見当たりません。
日刀保の審査基準によると、『特別重要刀剣は、重要刀剣の中で、更に一段と出来が傑出し、保存状態が優れ、国認定の重要美術品の上位に相当すると判断されるもの、若しくは国指定の重要文化財に相当する価値があると考えられるもの。』としていることから、本作は無類の健全さと出来の良さを誇る重要文化財に相当する極上品であることが分かります。更に無銘ですので、地刃のレベルはこれ以上ない水準に達しているかと思います。
図譜にも記載があるように、本刀には古鞘が附帯しており、その鞘書きによれば、享保三年十一月二十八日(一七一八)、信濃国松本藩主水野出羽守忠周(ただちか)の遺物(ゆいもつ)として徳川将軍家に献上されたものであり、その当時の極めは『青江』であったことが分かっています。
水野忠周は、松本藩四代藩主で、五代将軍綱吉、六代家宣、七代家継、八代吉宗に仕えました。享保三年十月二十八日、四十六歳没。献上されたのは、八代吉宗の時代に当たります。
探山先生鞘書きには、『幅広、重厚で猪首切っ先となる姿、乱れ映り現れ、冴えて強い地鉄に、変化のある丁子乱れを焼き、逆心を帯び、総じて小模様を呈し、刃中の足細かく乱れ込み、尖り心の帽子に結ぶ出来は、鎌倉中期の一文字派の名だたる名工の中で則房に収斂(しゅうれん=意見をまとめる)されるものであり、 健体出色の優品也。』とあり、図譜には、『丁子乱れを主調とした焼き刃には、逆心を帯びた点が見られ、また福岡一文字派に比して、乱れの調子がやや小模様である所に則房と鑑すべきものがある。同工極めの出色の一振りであり、地刃共に健全で、平肉の豊かな体配も好ましい。』とあります。
近年稀に見る片山一文字、これが重要文化財に比肩すると認められた則房、八代将軍徳川吉宗に献上された由緒正しい伝来品です。






















【売約済】 商品番号:V-1904 刀 片山一文字則房(無銘) (附)古鞘 第十七回特別重要刀剣指定品 徳川将軍家伝来品 探山先生鞘書き有り

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