大脇差し　二字国俊(無銘)
(にじくにとし)

Ohwakizashi:Niji Kunitoshi

古刀・山城　鎌倉後期　最上作
第四十八回重要刀剣指定品

刃長：59．8(一尺九寸七分強)　反り：1．5　元幅：2．93
先幅：2．39　元重ね：0．65　先重ね：0．51　穴3

鎬造り、鎬高め庵棟低い、中切っ先鋭角に延びる。　表裏棒樋を掻き通す。　鍛え、小板目肌良く詰み、所々流れて肌立ち、淡く沸映り立ち、地沸厚く付き、地鉄良好。　刃文、丁子乱れ主体に小互の目、小丁子、京丁子を交えて密に詰まり、総体的に焼き高く、刃縁沸烈しく付いて匂い深く、刃中丁子足、葉入り、金筋、砂流し掛かる。　帽子、大きく乱れ込んでその先は穏やかな湾れ調で、先焼き詰める。　茎大磨り上げ、先浅い栗尻、鑢勝手下がり。　銀に金着せ二重ハバキ。　時代最上研磨。　白鞘入り。　

【コメント】
二字国俊(無銘)の重要刀剣、京丁子を交えた華麗で烈しい乱れ刃は、同工極めの白眉と言える名品です。
国俊は国行の子で、銘には『来』を冠しない『二字国俊』と、『来国俊』と三字銘に切るものとがあります。
古来より『二字国俊』と『来国俊』に付いては、その作風等の違いから、別人説も論じられてきましたが、近年の重要図譜では、『両者の製作年紀を合わせると、弘安元年(一二七八)から元亨元年(一三二一)までの約四十年となり、一人の刀工による作刀期間と考えても決して無理な年数ではない。』としており、現在は二字国俊を前期、来国俊を後期とする同人説が定説となっています。
これは、ほぼ同時期の長船長光などもそうであったように、時代の求めに応じて、刀姿、作風が変化して行くのは、何ら不思議なことではないと考えられるためです。
作風は、国行を思わせる身幅しっかりとした猪首風切っ先の勇壮な姿に、丁子刃の目立つ華やかな乱れを焼いた作が多く見られます。
本作は無銘ながら『二字国俊』と極められた一振り、平成十四年(二〇〇二)、第四十八回の重要刀剣に指定された典型作優品です。
寸法一尺九寸七分強、切っ先やや鋭角に延び、身幅しっかりとした勇壮な造り込みで、大磨り上げながらも未だ輪反り姿を留めています。
淡く沸映り立つ綺麗な地鉄、丁子乱れを主体にした焼き刃は、小互の目、小丁子、京丁子を交えて乱れの間隔が密に詰まり、刃縁の沸烈しく付いて匂い深く、刃中丁子足、葉入り、金筋、砂流し掛かるなど、総体的に焼き高く、同工中最も華やかな部類の作です。
図譜にも、『本作は大磨り上げ無銘であるが、焼き高く賑やかな沸出来の丁子乱れを見せるなど、華麗な作風であり、二字国俊の見所が顕著に示されている。』とあります。
京物らしい上品な華やかさと沸の煌めき、鎌倉中期らしいしっかりとした造り込み、これらのバランスが一体となった絶妙な一振り、『二字国俊』の無銘極めは中々ありません。
脇差しで重要に指定されていますので、その状態の良さはご理解頂けるかと思います。来国俊の貴重な前期作、この焼き刃は見応えがあります。