短刀 清麿(嘉永六年作)(一八五三)
(きよまろ)


Tanto:Kiyomaro



新々刀・武蔵 江戸末期 最上作
第二十五回重要刀剣指定品
『源清麿』及び『清麿大鑑』所載品(共に中島宇一著)
信州小諸藩主牧野家伝来品
探山先生鞘書き有り




刃長:23.0(七寸六分弱) 反り:内反り 元幅:2.53 元重ね:0.61 穴1



菖蒲造り、鎬すこぶる高く庵棟低め。 鍛え、板目肌総体的に流れて上品に肌立ち、地沸厚く付き、地景繁く入り、地鉄良好。 刃文、互の目乱れ主体で、大互の目、箱掛かった刃を交え、刃縁小沸付いて明るく締まり、刃中互の目足入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、乱れ込んで先尖り心に長く返る。 茎生ぶ、先栗尻、鑢筋違い。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨済み。 白鞘入り。  



【コメント】
源清麿の重要刀剣短刀、嘉永六年作、『左文字写し』の最高傑作、信州小諸藩主牧野家伝来品、『源清麿』及び『清麿大鑑』所載品です。
源清麿は、山浦内蔵助環と言い、文化十年(一八一三)、信濃国赤岩村、現長野県東御(とうみ)市で生まれました。赤岩村は、長野県北西部に位置し、真田氏発祥の地である真田町(現上田市)の隣です。文政十二年(一八二九)、兄真雄と共に上田藩工河村寿隆に入門、天保六年(一八三五)、江戸へ出て、幕臣窪田清音の庇護を受けながら精進しました。同十三年、長州萩へ赴任、同十五年には信州小諸へ帰郷、弘化二年(一八四五)に江戸へ戻り、以後四谷に住しました。嘉永七年(一八五四)、十一月十四日、自宅にて自刃、享年四十二歳。
同工の銘の変遷は、最初『一貫斎正行』、天保五年には師寿隆より『秀寿』の銘を授かりますが、同年のみで再び『正行』へ戻しており、弘化三年八月からは『源清麿』と銘じています。銘振りとしては、『一貫斎正行』、『山浦正行』、『一貫斎秀寿』、『信濃国正行』、『山浦内蔵助源正行』、『山浦環正行』、『源正行』、『源清麿』などが主です。
年紀の上限は文政十三年四月、最終年紀は嘉永七年正月日です。
本作は、昭和五十二年(一九七七)、第二十五回の重要刀剣指定品で、年紀はありませんが、後述する伝来、その銘振り等より、嘉永六年(一八五三)、同工四十一歳の頃の作であることが分かっています。また、同工が私淑し、その範とした左文字写しの最高傑作として、源清麿研究の大家、中島宇一先生著の『源清麿』及び『清麿大鑑』に所載されている名品中の名品です。
板目肌が総体的に流れて上品に肌立つ地鉄、互の目乱れ主体で、大互の目、箱掛かった刃を交えた刃文は、刃縁小沸付いて明るく締まり、刃中互の目足入り、金筋、砂流し掛かる出来で、帽子も乱れ込んで先尖り心に長く返るなど、本歌を思わせる覇気溢れる会心の一振りです。
透き通るように深く青く澄んだ鉄色、刃縁の深み、冴えなど、どれを取っても古作に迫るものがあり、これが新々刀であることを忘れさせてしまいます。
伝来に付いて、平成三年(一九九一)、第三十七回の重要刀剣指定品に、『清麿 嘉永六年八月日』の刀があり、本作はこの刀と共に、信濃国小諸藩主牧野遠江守康哉(やすとし)公へ納められた注文打ちの一振りであることが『源清麿』に記載されています。これまで嘉永六年紀の作は、現存しないものとされてきましたが、この刀の出現によって年紀の欠を補うこととなり、この短刀も刀と同じ銘振りであることから、嘉永六年の作であることが判明したのです。
現状の図譜には、伝来の記載はありませんが、日刀保に確認した所、『今年以降の重要審査へこれらの資料と共に提出して頂ければ、伝来の追記は可能。』との了承を得ています。
探山先生鞘書きにも、伝来に加えて、『本作は、匂い口抜群に冴えるなど、持ち前の活気と品の良さを併せ持つ同工短刀の精華也。』とあります。
清麿は、一度ご覧頂ければその凄さが分かります。見る者を魅了する驚くべき地刃の優秀さは、同工が『日本刀の本質』を見抜いていたためと考えられます。同工はほぼ全ての作を、本三枚若しくは四方詰め鍛えにて鍛刀、本三枚鍛えとは、芯鉄に刃鉄を合わせ、側面に皮鉄を両面から合わせる鍛接の方法で、古くは相州上工にも多く見られる鍛造方法です。柔らかい芯鉄に、やや固い刃鉄を鍛接することにより、刃持ちが良く、頑丈になるため、実戦用にも最適です。四方詰めは、これに棟側の鉄も加わります。また同工の地刃は、砥石当たりが独特で、砥石にへばり付くような粘りがあると言い、それが斬れ味の良さ、耐久性にも繋がります。
故に清麿刀は、刀剣の普遍的な命題である『折れず、曲がらず、良く斬れる』の条件を満たした究極の刀であると言えるでしょう。
日本刀とは、優れた鉄を巧みに鍛錬して、鋭い刃味と屈折にも耐え得る強靱な鋼を形成、それを最後の焼き入れによって実用と美を融合し、芸術品としての高い文化的価値を付加するもの。清麿は、その『刀の本質』を見抜いていたからこそ、最良な方法を探究し続け、そのために労を惜しまず辛苦を重ねたのです。この極めて真面目な製作態度は、全て作品に反映され、結果的に世の喝采を浴びるのです。
刀剣史上、千年に一人と言われる不世出の天才鍛冶源清麿、世上、『四谷正宗』と称された男の会心作が今ここにあります。
正直、清麿銘の重要刀剣は、まず出ません。加えて伝来も踏まえると、これは間違いなく家宝になる一振り、身震いする程の名品です。











【売約済】商品番号:V-2113 短刀 清麿(嘉永六年作)(一八五三) 第二十五回重要刀剣指定品 『源清麿』及び『清麿大鑑』所載品(共に中島宇一著) 信州小諸藩主牧野家伝来品 探山先生鞘書き有り

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