太刀 備州長船倫光
(びしゅうおさふねともみつ)
Tachi:Bishu Osafune Tomomitsu
古刀・備前 南北朝中期 拵え付き
第十一回重要刀剣指定品(昭和三十八年)(一九六三)
探山先生鞘書き有り

刃長:74.5(二尺四寸六分弱) 反り:2.1 元幅:3.14
先幅:2.15 元重ね:0.61 先重ね:0.51 穴2
打ち刀拵え(全長107 柄長21.5 江戸後期 鞘 茶黒梨地 こじり、鍬形真鍮大石目地 栗型鯉口黒塗り 下げ緒、こげ茶 柄 研ぎ出し鮫地に黒柄巻き 縁頭、赤銅魚子地、高彫色絵、兎の図 目貫、赤銅容彫色絵、鶴の図 鍔 赤銅丸形石目地、高彫色絵、赤銅覆輪、片櫃孔 葡萄栗鼠図)付き。
【コメント】
長船倫光の重要刀剣在銘太刀、兼光一門の筆頭、地刃冴え渡る優品、南北朝盛期の長船鍛冶代表作です。
倫光は、南北朝中期に活躍した備前長船派の代表工、兼光門下の筆頭鍛冶で、一説によると子とも弟とも云います。文保二年(一三一八)生まれ、康暦元年(一三七九)、六十二歳没と伝わり、一般的に『倫』の字を音訓読みにして『リントモ』と呼称されます。
現存する年紀作に見る活躍期は、貞和(一三四五~五〇)から永和(一三七五~七九)頃まで、国宝一口、重要文化財二口、重要美術品二口を数える名工です。
一門にあって最も兼光に近い作風を示しており、技術的にも、作位的にも師に迫るものがあります。
同工最高傑作と言えば、前述した国宝指定の大太刀、古来より栃木県の日光二荒山(ふたらさん)神社に伝わる名刀中の名刀、生ぶ在銘で『備州長船倫光 貞治五年二月日(一三六六)』と銘があり、大切っ先で刃長四尺二寸弱、反り二寸弱、元幅一寸五分弱もある大太刀です。
同工には短刀や平脇差しの在銘作は現存しているものの、太刀は時代的に長尺のものが多いため、国宝を除いては、殆どが大磨り上げ無銘となっています。
また同工の作には、兼光同様、簡素な樋から濃厚な倶利伽羅まで、何らかの彫り物が見られるのも特徴です。
本作は、倫光の貴重な在銘太刀、昭和三十八年(一九六三)、第十一回の重要刀剣に指定された名品です。
寸法二尺四寸六分弱、切っ先延び心、身幅しっかりとした勇壮な造り込み、一番下が生ぶ穴、通常ハバキ上にくる梵字、銘の位置からして、二寸半程磨り上がっており、元来は二尺六寸近くあったことが分かります。
良く練られた地鉄は、上品に肌立ち、乱れ映り鮮明に立ち、小湾れ、互の目、小互の目、角張った刃、尖り風の刃、小乱れを交えた刃は、刃縁明るく締まり、細かなほつれ、飛び焼き、二重刃、湯走り掛かり、刃中小足、葉入り、僅かに金筋、砂流し掛かるなど、在銘品ながら、地刃健やかで、綺麗な状態が保たれています。
図譜には、『この太刀は、地刃に兼光一門の作風が顕著であり、如何にもこの時代、この派の典型的なものである。倫光在銘太刀は極めて少ない。』とあり、探山先生鞘書きにも、『本作は、幅広で切っ先延びる延文貞治姿を呈し、小湾れ主調で互の目交じりの刃文、乱れ映り立つ地鉄、湾れて尖る帽子など、同工の持ち味を顕現する優品也。』とあります。
南北朝盛期に於ける備前長船物の代表作、且つ『リントモ』の在銘典型作の優品としてお薦め致します。







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