大身槍 村正
(むらまさ)
Ohmiyari:Muramasa
古刀・伊勢 室町末期 最上作
第三十二回重要刀剣指定品(昭和六十年)(一九八五)

刃長:60.4(一尺九寸九分強) 茎長:57.7 反り:なし
元幅:2.80 元重ね:1.17 穴2(内1忍)
【コメント】
千子村正の重要刀剣大身槍、皆焼交じりの烈しい刃文、すこぶる健全な地刃、世界最強の大身槍、身震いする程の妖刀村正です。
愛刀家の方でなくとも、一般的に良く知られるのが千子村正、その知名度は、相州正宗、長曽祢虎徹、源清麿に勝るとも劣りません。また同工に関する様々な伝説は、その枚挙に暇がない程、数多残されています。特に徳川家との因縁は只ならぬものがあり、多くの禍をもたらしたことから、『妖刀村正』と恐れられ、同家には忌み嫌われ、一説によると、江戸時代、大名、旗本らは、村正の所持を禁じられたとも伝わっています。その一方で、徳川家に恨みを持つ外様大名達は、『無銘』又は『廣正』、『正廣』などと改鏨するなどして秘かに愛用、特に幕末期には、徳川家に祟るとの伝説から、勤皇の志士達に好まれ人気を博したとも云います。
そして何と言っても万人を魅了して止まないのはその凄まじい斬れ味、徳川家に忖度したためか、江戸時代に作られた業物位列には入っていませんが、その斬れ味は虎徹と同等かそれ以上、本来であれば間違いなく最上大業物にその名を連ねる刀工でしょう。
同銘が数代に渡っていますが、特に初二代が有名で、初代を文亀、二代を天文頃としており、その代別は、その銘振り、作風、茎仕立て等によって明確に区別することが出来ます。また、村正は、とにかく偽物が多いことでも有名、正宗でも虎徹でも、偽物が多いのは人気の目安となりますが、間違いなく村正が最も多いかと思います。
本作は、大変貴重な村正の大身槍、昭和六十年(一九八五)、第三十二回の重要刀剣指定品です。
これまでも本誌では、村正の在銘正真作を百振り程掲載致しましたが、大身槍の重要刀剣は初、茎も生ぶで地刃もすこぶる健全です。
因みに定義として、『刃長が一尺を超えるもの』を大身槍と呼び、『天下の三名槍』である『御手杵(おてぎね)(四尺六寸)』、『日本号(二尺六寸二分)』、『蜻蛉切(とんぼぎり)(一尺四寸)』も大身槍に当たります。
寸法一尺九寸九分強、塩首は六角で短く、平地に太い棒樋を角留めにし、樋中は黒塗りになっています。
板目に杢目交じりで総体的に流れて肌立つ地鉄は、地色やや黒み勝ち、小互の目乱れ主体で、互の目、丁子風の刃、尖り風の刃を交えた刃は、刃縁良く沸付いて匂い深く、やや沈み心に締まり、上半は乱れが烈しく飛び焼きを多数交えて皆焼となり、刃中小互の目足、葉入り、金筋、砂流しが掛かっています。
図譜には、『この槍は、二代村正の作で、美濃関風の尖り刃の目立つ互の目乱れを焼いており、部分的には飛び焼きが入って皆焼風となるなど華やかであり、総じて出来が優れ、蓋(けだ)し名槍と称すべきである(名槍と呼ぶに相応しいものである)。二代村正には、他に片鎌十文字槍の遺例もあり、槍の製作にも長じていたことが知られる。』とあります。
槍の類いは、消耗が激しく、滅多に良い状態で残ってないですが、流石は重要刀剣だけあって、刃が健全、元から先まで染みるような箇所は皆無です。
妖刀村正の大身槍、ある意味、武器として最強と言っても過言ではありません。
近年の刀剣ブームの火付け役、村正の人気は留まることを知らず、今後も益々価格高騰の気配です。
誠に勝手ながら、今後は、『天下の三名槍』にこれを加えて『四名槍』とさせて頂きます。



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