短刀 保昌(生ぶ無銘)(朱銘不明)
(ほうしょう)
Tanto:Hosho(Mumei)
古刀・大和 鎌倉末期 拵え付き
第六十六回重要刀剣指定品(令和二年)(二〇二〇)

刃長:23.0(七寸六分弱) 反り:内反り 元幅:2.12 元重ね:0.58 穴2
合口拵え(全長37 江戸期 鞘 黒の呂鞘 下げ緒、朱 柄 出し鮫柄 金色絵龍図 目釘、金色絵)付き。
【コメント】
保昌の重要刀剣短刀、本家本元の『保昌柾目鍛え』を存分に味わえる一振り、且つ希少な生ぶ茎、同派の代表作になる逸品です。
保昌派は、大和五派の一つ、大和国高市(たかいち)、現奈良県高市郡に住して鍛刀した一派です。貞吉と貞宗を棟梁格とし、貞吉には、世上、名物『桑山保昌』と呼ばれる国宝の在銘短刀があります。同派には貞清、貞興、貞光、貞晴らがおり、鎌倉末期から南北朝期に掛けて活躍していますが、在銘品は極僅少で、そのほとんどが短刀、皆一様に『貞』の字を通字としています。銘振りは二字銘、『藤原□□』の四字銘が主で、極稀に『大和国藤原□□』と切ったものもあります。
同派の最大の特徴はその鍛えにあり、やや黒みのある地鉄に、整然たる強い柾目肌が流れ、時には強い柾割れが生じます。古来よりこれを『保昌の柾割れ』として、欠点とは捉えず、一つの見所として捉えます。
また同派の茎仕立てに付いて、太刀の生ぶ在銘品は皆無であるため、短刀に限っては、檜垣鑢で、茎尻は生ぶであっても、ほぼ真横に直線的な切りとなります。知らなければ、茎先を摘まんだようにも見えます。
本作は、生ぶ無銘ながら『保昌』と極められた優品、令和二年(二〇二〇)、第六十六回重要刀剣指定品です。
寸法七寸六分弱、内反りの上品な姿、地刃健全です。貴重な生ぶ茎は、前述したように、鑢目は檜垣、茎尻は切りとなるなど、標本的な茎仕立てを示しています。
柾目肌が波状に流れて上品に肌立つ綺麗な地鉄は、所々特有の柾割れを交えて地色やや黒み勝ち、細直刃調で僅かに小互の目心のある刃は、 刃縁良く沸付いて明るく冴え、ほつれ、二重刃、打ちのけ掛かり、刃中繊細な金筋、砂流しが掛かっています。帽子も先掃き掛け焼き詰めるなど、一見して、保昌と分かる出来です。
図譜にも、『この短刀は、地刃に保昌派の典型的出来口が示されている。総柾の鍛えは良く錬れて詰み、刃文の直刃も良く沸えて明るく冴え渡り、茎の檜垣鑢も含めて標本的である。』とあります。
大和五派中、最も個性の強い同派の持ち味が顕現された健やかなる逸品です。



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