剣 千手□(千手院)
(せんじゅいん)
Ken:Senjuin
古刀・大和 鎌倉後期
第六十八回重要刀剣指定品(令和四年)(二〇二二)

刃長:23.8(七寸九分弱) 反り:なし 元幅:2.44 元重ね:0.73 穴2
【コメント】
千手院の重要刀剣、大変稀少な生ぶ在銘の古剣、格調高く、洗練味のある姿、資料的価値もすこぶる高い名品です。
千手院一派は、大和五派の中で最も歴史が古く、奈良若草山の西山麓に千手観音を本尊とする千手堂があり、この地に在住し鍛刀していた刀工群であったことから、千手院と呼ばれるようになったと云います。
剣の作例は、古くは平安期より見られますが、武家の実戦用ではなく、御神体、仏像の持ち物、仏教的な魔除けの器としての意味合いが強く、武士よりも僧侶に好まれました。ほぼ無銘作で、東大寺や興福寺などの大寺院を始め、数多くの寺院に抱えられていた大和鍛冶の遺作が多く見られますが、中でも千手院派に多く、南北朝期を下らない現存作は僅少です。
本作は、貴重な生ぶ在銘の古剣、茎がやや朽ち込んでいますが、『千手□』と銘が残されています。
本作は、令和四年(二〇二二)、第六十八回の重要刀剣指定品で、図譜には、『制作年代は鎌倉後期を降らない。』とあります。
小板目に板目交じりの地鉄は、所々波状に強く流れて肌立ち、直湾れ調で小互の目交じりの刃は、刃縁明るく冴え、ほつれ、打ちのけ、二重刃盛んに掛かり、刃中繊細な金筋が掛かっています。
鎌倉期を降らぬ作ながら、刃は驚く程健全、元から先まで染みるような箇所は皆無です。
図譜には、『この剣は、身幅が広く、鎬の高い造り込みで、地刃には大和物の特徴が現れており、端正な直刃と頑健な姿に力強さを感じさせる一口である。その姿形から、制作年代は鎌倉後期を降らないと鑑せられるもので、現存数少ない千手院派の貴重な在銘作であり、資料的価値もすこぶる高い。』とあり、探山先生鞘書きにも、『格調高く、洗練味のある姿態を呈し、地刃には輝く沸が厚く付くなど、鎌倉末葉を降らぬ同派の健やかで重厚な味わいを見せる優品也。』とあります。
多彩で烈しい沸の働きが随所に見られる鎌倉期の古剣、且つ千手院の在銘品、これは強くお薦め致します。




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