刀 (金象嵌銘)貞宗
(さだむね)
本阿(花押)(光純)(十五代)
Katana:Sadamune
古刀・相模 最上作 鎌倉末期~南北朝初期
拵え付き(保存刀装具鑑定書付き)
第五十五回重要刀剣指定品(平成二十一年)(二〇〇九)

刃長:70.4(二尺三寸二分強) 反り:1.8 元幅:2.94
先幅:2.03 元重ね:0.69 先重ね:0.46 穴2
天正拵え(全長99.5 柄長22 近代作 鞘 黒の呂鞘 返り角あり 笄、赤銅魚子地高彫色絵、布袋図 目貫、赤銅地容彫色絵、布袋図 柄 黒塗鮫に深緑裏革柄巻き 縁、赤銅魚子地、据文金象嵌、桐文散図 頭、角 鍔 鉄槌目地木瓜形地透 花弁図)付き。
【コメント】
相州貞宗の重要刀剣、十五代本阿弥光純の金象嵌極め、師正宗に比肩する刃中の凄まじい沸の働きと輝き、同作中屈指の名作です。
相州貞宗は、彦四郎と称し、岡崎五郎入道正宗門人で、後に養子になったと伝えています。鎌倉末期から南北朝前期の刀工で、『亀甲貞宗』、『伏見貞宗』など国宝一口、『切刃貞宗』、『二筋樋貞宗』、『幅広貞宗』など重要文化財十二口、重要美術品三口を数える名工ながら、在銘正真作は現存しておらず、現存品は、無銘若しくは金象嵌銘、朱銘などによる極めになります。
作風は、光り輝く美しい刃沸、地景を頻りに織り成す地鉄など、師風を最も良く受け継いでいます。師との相違点は、師に比してやや大柄な姿形、刃調が湾れ主体で穏やかである点になります。
本作は、平成二十一年(二〇〇九)、第五十五回重要刀剣指定品、茎には『貞宗 本阿(花押)』と十五代本阿弥光純の金象嵌極めが刻まれた名品です。
光純は、本阿弥本家十五代当主、十四代光勇の子で、三郎兵衛、忠宣と称しました。折紙は、宝暦十一年(一七六一)~明和八年(一七七一)まで。同年七月没。
光純の金象嵌極めに関して、本作の貞宗以外にも、相州系鍛冶では、行光、正宗、郷義弘等々、最上工の名品が多いことが分かります。
寸法二尺三寸二分強、元先身幅の差が少ない勇壮な造り込みで、姿も美しく、地刃健全です。
板目に杢目を交えて上品に肌立つ地鉄は、地景繁く入り、直湾れ調で小互の目交じりの刃は、刃縁強く沸付いて明るく冴え、ほつれ、二重刃風の湯走り頻りに掛かり、刃中金筋、砂流し烈しく掛かる出来で、帽子も乱れ込んで尖り、盛んに掃き掛けて火炎状となっています。
穏やかな刃調ながら、刃縁、刃中の凄まじい金筋、砂流しの変化、火炎状に烈しく尖る帽子などは、師正宗の代表作、享保名物帳所載、名物『大垣正宗』を彷彿とさせるものがあります。
図譜には、『この刀は、板目鍛えに地景が良く入り、刃文は穏やかな湾れ調を焼くなど、地刃に貞宗の典型的作風を示しており、本阿弥光純の極め通り首肯されるものである。焼刃には、相州伝上位特有の光美しい刃沸が厚く付き、刃縁、刃中共に頻りに働き、出来が優れている。』とあります。
兎にも角にも、沸の輝きが違います。また金象嵌銘貞宗で、これだけ寸法もしっかりある作は、暫くお目に掛かることはないでしょう。
付属の外装も傷みのない綺麗な天正拵え、笄、目貫の二所は布袋図、無銘後藤で鑑定が付いています。
近年稀に見る貞宗、相州最上工として面目躍如たる出来映えを示した魅力満載の名刀です。








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