刀 志津(無銘)
(しづ)

Katana:Shizu(Mumei)



古刀・美濃 南北朝期 最上作 拵え付き
第十六回特別重要刀剣指定品(平成十二年)(二〇〇〇)
探山先生鞘書き有り




刃長:70.6(二尺三寸三分) 反り:1.8 元幅:3.08
先幅:2.29 元重ね:0.83 先重ね:0.60 穴3(内1埋)




鎬造り、鎬高め庵棟低め、大切っ先でやや鋭角となる。 表裏共に棒樋を茎途中で掻き流す。 鍛え、板目、杢目、流れ肌を交えて良く錬られ、鉄に潤いがあり、地沸厚く付き、地景繁く入り、地鉄精良。 刃文、湾れ調で互の目、小互の目、尖り風の刃を交え、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、筋状の湯走り掛かり、刃中互の目足、小足、葉入り、金筋、砂流し掛かる。 帽子、湾れ込んで沸付き、先突き上げて尖り心に掃きかけ返る。 茎大磨り上げ、先切り、鑢勝手下がり。 銅に金着せ二重ハバキ。 時代最上研磨。 白鞘入り。
上打ち刀拵え(全長98 柄23.5 江戸期 鞘 黒の呂鞘 小柄笄、銘:吉岡因幡介 赤銅魚子地高彫金色絵、根引き松図 下げ緒、卯の花に辛子色 柄 親鮫に黒柄巻き 縁、赤銅魚子地高彫金色絵 頭、角黒塗り 目貫、金無垢地容彫、根引き松図 鍔 赤銅研磨地無文、金覆輪 櫃穴縁金覆輪)付き。  



【コメント】
志津兼氏の特別重要刀剣、『正宗十哲』、美濃鍛冶の最高峰、正宗に迫る沸の変化を存分に示した同工出色の出来映え、嘗ては、享保三年本阿弥光忠の代千五百貫の折紙付き、非の打ち所がない志津です。
志津三郎兼氏は、元来大和国手掻派出身で、大和在住時は、『包氏』と銘したが、後に美濃国志津(現岐阜県海津市南濃町志津)の地へ移住した際に『兼氏』に改銘したと伝えられます。また志津は、前述したように、元来は美濃の地名ですが、無銘極めで単に志津と呼ぶ場合は、兼氏の略称になります。
兼氏の師伝に付いては、古来より相州正宗門として、『正宗十哲』の一人に数えられており、現存品の作風からすると、十哲の中で最も正宗の影響を受けていることが分かります。
正宗との相違点は、鍛えに板目が流れるなどの柾心がある点、互の目が連れる刃、尖り風の刃が交じる点、帽子に丸みがあって、先が大丸風で返りが短く、時には先が焼き詰め風となる点などが挙げられます。
御物一口、重要文化財四口、重要美術品三口を数えますが、在銘確実な作は僅か数振りで、御物である『浮田志津』、重要文化財『稲葉志津』は、生ぶ無銘の短刀、重要文化財で徳川家康の指し料であった『分部志津』も、大磨り上げ無銘であるように、志津と言えば、大半が無銘極めとなります。
本作は、大磨り上げ無銘ながら、『志津』と極められた名品中の名品、昭和三十六年(一九六一)、第六回の重要刀剣で、平成十二年(二〇〇〇)、第十六回の特別重要刀剣指定品です。
特別重要刀剣とは、日刀保の審査基準によると、『重要刀剣の中で、更に一段と出来が傑出し、保存状態が優れ、国認定の重要美術品の上位に相当すると判断されるもの、若しくは国指定の重要文化財に相当する価値があると考えられるもの。』としています。
審査は二年に一度、令和八年までで、二十九回の審査が行われましたが、合格率は概ね10%程度、但しこの数字は、毎回10%は合格するという意味ではなく、厳しい年では、6~7%の場合もあります。とにかくどれも狭き門を潜り抜けた選ばれし名刀です。
本作は、寸法二尺三寸三分、大切っ先やや鋭角となり、元先身幅、重ねのがっしりとした堂々たるスタイルで、地刃共に無類の健全さを誇る素晴らしい状態です。
板目、杢目、流れ肌を交えて良く錬られた精良な地鉄は潤いがあり、湾れ調の刃は、互の目、小互の目、尖り風の刃を交え、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、筋状の湯走り掛かり、刃中互の目足、小足、葉入り、金筋、砂流しが掛かっています。帽子も湾れ込んで沸付き、先突き上げて尖り心に掃きかけ返るなど、普段の志津と言うより、正宗風を意識した出来と言えるでしょう。
探山先生鞘書きには、『焼きに様々な沸の変化をあしらい、迫力のある帽子、雄勁(堂々として力強いこと)なる姿態は、同工の特色を明示している。出来、保存状態共に同工極め中の屈指也。かつては、享保三年本阿弥光忠の代千五百貫の折紙が附帯と伝う。帽子など、沸の変化の妙を現し、正宗に触発されたる同工の特色を明示する優品也。』とあり、図譜には、『この刀は、造り込み及び地刃の作風に志津の特色が顕現されており、殊に潤いのある鍛錬は見事であり、悠々たる刃取りと鋭く迫力のある帽子は味わい深く、加うるに地刃が健体であることも好ましい。』とあります。
鑑定が厳格で代付けも厳しいため、最高権威と呼ばれる本阿弥本家十三代光忠の極め、且つ千五百貫という破格の代付けからも分かるように、本作は、前述した重要文化財名物『稲葉志津』や『分部志津』に比肩するものと考えて良いでしょう。
また付属の外装も大変素晴らしい江戸期の作、赤銅魚子地の小柄笄は、吉岡因幡介在銘品、その他の金具類も赤銅でピシッと揃えてあり、目貫は金無垢です。
一度ご覧頂ければ分かります。これは物凄い志津、姿も格好良い、非の打ち所がないとはこのこと、近年稀にみる名刀の登場です。

















【売約済】商品番号:V-2210 刀 志津(無銘) 第十六回特別重要刀剣指定品(平成十二年)(二〇〇〇) 探山先生鞘書き有り 拵え付き

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