刀 (太刀銘)奥大和守平朝臣元平
(おくやまとのかみたいらのあそんもとひら)
寛政五丑春(一七九三)
Katana:Okuyamatonokami Tairano Ason Motohira
新々刀・薩摩 江戸後期
第十四回重要刀剣指定品(昭和四十一年)(一九六六)
『新々刀大鑑』所載品

刃長:71.1(二尺三寸五分弱) 反り:1.6 元幅:3.25
先幅:2.16 元重ね:0.64 先重ね:0.51 穴1
【コメント】
奥元平の重要刀剣、上品な直刃調の出来ながら、地刃の沸強く、刃中に煌めく金線など、相州上工を狙った意欲作、『新々刀大鑑』所載品です。
元平は、延享元年(一七四四)、奥元直の長男として生まれました。父に鍛刀を学び、安永六年(一七七七)に家督を相続、天明五年(一七八五)頃に薩摩藩工となり、寛政元年(一七八九)には『大和守』を受領、十一歳年配の伯耆守正幸と共に、薩摩新々刀鍛冶の双璧を成した名工です。
会津元興、備前横山祐平、尾張青木元長等々、全国各地の名工達が元平に学んでいることからも、その名声の高さが伺えます。
作刀は、明和(一七六四~七二)から文政(一八一八~三〇)頃まで見られ、文政九年(一八二六)、八十三歳で没。
作風は、互の目乱れに小湾れ、尖り風の刃を交えた焼き刃を主体とし、刃縁の匂い深く荒沸付き、金筋、砂流し掛かるなど、相州伝を得意としています。 銘は、最初『薩陽士元平』、薩摩藩工となった天明五年頃からは『薩藩臣奥元平』、寛政元年の『大和守』受領後は、『奥大和守平朝臣元平』と切る場合が大半です。
本作は、昭和四十一年(一九六六)、第十四回重要刀剣指定品で、『新々刀大鑑』にも所載されている同工代表作、寛政五年(一七九三)は、同工五十歳に当たる大成期です。
寸法二尺三寸五分弱、切っ先やや鋭角に延び心、身幅しっかりとした勇壮なスタイルで、地刃すこぶる健全です。
小板目に板目、杢目、流れ肌を交えて良く練られた精良な地鉄は、地沸微塵に厚く付き、地景繁く入り、直刃湾れ調で小互の目交じりの刃は、刃縁良く沸付いて匂い深く明るく冴え、ほつれ、二重刃掛かり、刃中には太い金線も見られます。
肌目に沿って地景がうねるように良く働いた地鉄、煌めくような太い金線は、相州上工に見られる地刃の働き、その中でも皆焼から細直刃まで作風が多彩な相州行光、若しくは当麻辺りを狙った作と鑑せられます。
これまでも本誌では、同工の作を四十余振り掲載しましたが、重要刀剣は初掲載、加えて『新々刀大鑑』にも所載されている代表作、これは見逃せない奥元平です。





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