槍(菱形槍)伊州名張住平元宗作
天保八歳二月吉日(一八三七)
Yari:Ishu Nabariju Tairano Motomune
新々刀・伊賀 江戸末期

刃長:15.9(五寸二分強) 反り:なし 元幅:1.67 穴なし
両鎬造り、丸塩首。 鍛え、波状の柾肌流れて良く詰み、地沸厚く付き、地鉄良好。 刃文、直刃調で、小乱れ、小互の目、湾れを交え、刃縁沸匂い深く明るく、ほつれ、二重刃風沸筋掛かり、刃中金筋、砂流し頻り掛かる。 帽子、直調で沸付き、先焼き詰め風。 茎生ぶ、先切り、鑢筋違い。 時代研磨。 白鞘入り。
【コメント】
元宗は藤田勘兵衛と言い、現三重県名張市の刀工、初め奥元平門人の青木元長(尾張)、後に尾崎助隆の孫、天竜子正隆(摂津)に学んでいます。本作は両鎬槍の類いですが、各面の鎬が高く、断面が◇(菱形)になっているので、菱形槍とも呼ばれます。柾肌流れる綺麗な地鉄、穏やかな刃調ですが、刃中小乱れ、小互の目、湾れを交え、刃縁も烈しく沸付いて変化が多彩です。中々見応えのある珍品、銘も問題ありません。
